前回、コミュニケーションの中で「快・不快」が分かれるポイントとして
「言い方」がその大きな要素になることをお伝えしました。
▶︎ コミュニケーションの快・不快を決める3つの要素
実際のやりとりの中で、
同じことを言っているのに
なぜか「きつい」と感じるときと、そうでないときがある
そんな経験はないでしょうか。
この違いは、単に言葉遣いの問題ではありません。
言い方のきつさは、言葉そのものではなく、どう伝わるかによって生まれます。
今回は、その仕組みを具体例で整理してみます。
わかりやすいように
1つのシチュエーションで考えてみましょう。
あなたが、
ちょっと狭めな道に立っていると
やってきた人に声をかけられます。
「邪魔」と言われたときに起きていること
例えば、そんな時
その人に「邪魔」と言われたら、どうですか。
この一言に、カチンとくる人は多いと思います。
なぜなら、この言葉は
「その場の状況」ではなく
「あなたの存在」を否定されたように感じやすいからです。
本来伝えたいのは、
・今その位置だと動きづらい
・少しスペースをあけてほしい
といった、その瞬間の“状況”の話です。
しかし「邪魔」という言い方になると、
「あなたは、私にとって邪魔な存在だ」
「邪魔するな」
という意味として伝わりやすくなります。
もちろん、あなたは、
邪魔をしているつもりはありません。
だからこそ、反射的に反発や
「言い返したい気持ち」が生まれやすくなります。
この“伝わり方のズレ”が、
言い方のきつさとして感じられるポイントです。
言い方の違いで何が変わるのか
同じ場面で、少し言い方を変えてみます。
・「邪魔」
・「どけ」(命令)
・「どいてください」(依頼)
・「どいてもらってもいいですか?」(許可)
してもらおうとしていることは同じですが、
受け取られ方は変わります。
これは、
言葉の形そのものではなく
その言葉がどんな意味として届くか
が変わるためです。
「どく」と「通る」で起きている違い
さらに見ていくと、
・「どいてください」
・「通してください」
この違いも重要です。
どちらも結果としては同じですが、
前者は
相手の行動を変えさせる形
後者は
自分の行動に協力してもらう形
そのために、どう動くかは
相手に委ねられています。
この違いによって、
・やらされている感じ
・自主的に協力している感じ
といった受け取り方が変わります。
前者では「なんのためにどくのか」が
わからないことも、快く動けない理由の一つ。
よく「言葉が足りない」という表現がありますが
この部分のことがよくあります。
この違いは、
普段のコミュニケーションの中で
どんな前提に立っているかにもつながっています。
例えば、
「どうしてやってくれないのか」と感じるときは、
相手が動くことを前提にしている状態とも言えます。
一方で、
「自分はこうしたい」と伝えていくときは、
相手に協力を求める形になります。
日々のコミュニケーションの中で
どちらの前提で言葉が投げかけられるかは
大きな違いを生んでいきます。
「ありがとう」の意味も変わる
この違いは、その後のやりとりにも影響します。
・「どいて」と言われて動いた後の「ありがとう」
・「通して」と言われて動いた後の「ありがとう」
同じ言葉でも、
前者は
指示に応じたことへのお礼
後者は
協力したことへのお礼
として受け取られやすくなります。
この違いは小さく見えて、関係性に影響します。
人は、誰に協力する自分は好きなものです。
それによって、お礼を言われたら
さらに嬉しいものです。
自ずと、もっとしてあげたい
という気持ちも芽生えてくるのは
自然なことかもしれません。
一番トラブルになりやすいパターン
ここまで言い方について見てきましたが、
実は、もうひとつトラブルになりやすいパターンがあります。
それは、
言葉にせず、態度で伝えようとすることです。
例えば、
・無理に横を通ろうとする
・ため息をつく
・困った顔をする
・ぶつかる
こうした行動は、
何をしてほしいのかは伝わらないのに
不満だけが伝わる状態
になります。
その結果、相手は理由がわからないまま不快になり、
関係がこじれやすくなります。
これは
「見ればわかるだろ」と感じていたり、
「なんで気づかないのか」と思ってのこともありますが
言えない、言わなくても
「察してほしい」という思いから
このような態度になることもあります。
この「察してほしい」という感覚については、
別の記事で詳しく整理しています。
▶︎ 言わなくてもわかってほしい心理
まとめ
言い方のきつさは、
・強い言葉を使ったかどうか
ではなく
どんな意味として伝わるか
によって生まれます。
同じ内容でも、
・存在を否定されたように感じるのか
・協力を求められていると感じるのか
その違いで、受け取り方は大きく変わります。
やりとりの中で違和感を感じたときは、
・何を言ったか
だけでなく
・どう伝わっていたか
という視点で見てみると、整理がつきやすくなります。
逆も然りです。
自分が言われてきついと感じたときも、
「何を言われたか」だけでなく、
「どういう意味として受け取ったか」が影響しています。
コミュニケーションで悩んだときは
コミュニケーションの中で起きるズレは、
その場の言葉だけでなく、
これまでの経験や前提とも関係しています。
そうした部分をもう少し整理してみたいと感じたときは、
自分のやりとりのパターンを一度見ていくことで、
見え方が変わることもあります。
<おまけ> 緊急時は「行動」を伝える
ここまでの話とは少し違いますが、
緊急時には別のポイントが重要になります。
例えば、
「危ない!」と言われても
どう動けばいいかわからず止まってしまうことがあります。
そんなときは、
「何をするか」をそのまま伝える方が有効です。
・「伏せて!」
・「走って!」
といった形です。
これは、判断する余裕がない状況では、
意味づけよりも行動が優先されるためです。
関連記事
今回の内容は、コミュニケーションの中で「快・不快」が分かれる要素のうち、
「言い方」に焦点を当てて整理したものです。
全体の構造については、こちらの記事で整理しています。
また、
相手との関係の中で無理をしてしまったり、
言いたいことが言えずにストレスが溜まっていく流れについては、
こちらの記事も参考になります。

