人の言葉や態度に傷ついたり、
ちょっとした出来事で不安になったり、
あとから何度も考えて落ち込んだりする。
悪く思われたくない。
嫌われたくない。
迷惑をかけたくない。
そう思って気をつけているのに、
なぜかうまくいかない。
そのたびに、
自分の何がいけなかったのだろうと考えて、
人と関わることが少しずつ億劫になっていく。
そんなふうに、
人との関わりや、自分との関わりの中で
苦しさが繰り返されることがあります。
悩みが表れる場面は、人それぞれ違います。
職場でのこと。
家族とのこと。
恋愛やパートナーシップのこと。
自分自身のこと。
けれど、
カウンセラーとして多くの方のお話を伺う中で、
こうした苦しさの根底には、
共通する自己否定があることが見えてきました。
その自己否定は、
大きく分けると3つあります。
私はそれを、
存在否定・価値否定・個性否定と名づけました。
そして、この3つを
「3大自己否定」と呼んでいます。
この記事では、
他人軸で苦しくなる背景にある
この3大自己否定について整理しながら、
自分を大切にする方向へ進むために、
どこに変化の糸口があるのかを
整理していきます。
3大自己否定とは
3大自己否定とは、
他人軸を生み出している自己否定で、
存在否定・価値否定・個性否定の3つを指します。
この3つを丁寧に見ていくと、
心の奥に、共通してあるのが
「そのままの自分では受け入れてもらえない」
という思いです。
受け入れてもらえないと思っている
「そのままの自分」とは、どんな自分なのか。
そこを見ることで、
存在否定・価値否定・個性否定の違いが
わかりやすくなります。
それぞれを見ていきましょう。
存在否定
存在否定とは、
そのままの自分がいるだけで、
周りの負担になる、
マイナスな影響が出ると捉える自己否定です。
ここで否定されているのは、
自分が存在していることそのものです。
そのため、
人と関わる中で、
自分の影響をできるだけ小さくしようとします。
邪魔にならないようにする。
迷惑をかけないようにする。
透明になろうとする。
自分を出す以前に、
そもそも自分がそこにいること自体に
申し訳なさを感じます。
この感覚が強くなると、
「生きていて、ごめんなさい」
と感じるほどです。
自ずと、
自分の存在そのものを
小さく扱う方向へ向かいやすくなります。
存在否定について詳しくは、
こちらの記事で整理しています。
▶︎「自分はいない方がいい」と思ってしまう心理|原因と向き合い方
価値否定
価値否定とは、
そのままの自分には、
一緒にいてもらう価値がないと捉える自己否定です。
価値否定があると、
人と関わる中で、
自分が相手にとって
プラスにならなければいけないように感じやすくなります。
役に立つ。
期待に応える。
気配りをする。
そうすることで、
一緒にいてもらえる価値を保てるように感じるからです。
一方で、
嫌われること、
悪く思われること、
迷惑をかけることは、
価値をプラスできないどころか、
相手にとってマイナスになることのように感じられます。
それは、
人と関わるうえで必要最低限のことすらできなかったように感じるほど、
大きな不安や落ち込みにつながります。
価値否定について詳しくは、
こちらの記事で整理しています。
▶︎ 頑張らないと自分には価値がないと思ってしまうあなたへ:思い込みから解放されるために
個性否定
個性否定とは、
自分の感じ方や考え方、
好き嫌いや反応が人と違うことで、
「自分は変だ」
「普通からはみ出している」
と捉える自己否定です。
個性否定があると、
できるだけ普通に見えるようにしようとします。
浮かないようにする。
変に思われないようにする。
周りと違う自分を隠そうとする。
自分の感じ方や考え方を出したとき、
その場の空気が止まったり、
相手の反応が少し変わったように見えたりすると、
「今の発言はおかしかったのかもしれない」
「間違えたのかもしれない」
と感じることがあります。
そうした経験が重なると、
自分の感じ方や考え方を出すこと自体が怖くなり、
できるだけ普通に見えるように、
その場に紛れようとする方向へ向かいやすくなります。
個性否定について詳しくは、
こちらの記事で整理しています。
▶︎ どこに行っても馴染めないと感じるあなたへ||普通にしていると浮いてしまう理由
3大自己否定は、段階の違いではない
3大自己否定は、
自己否定が強くなるにつれて、
別の自己否定へ変わっていくものではありません。
たとえば、
個性否定が強くなったから価値否定になり、
さらに進むと存在否定になる、
というものではないのです。
存在否定・価値否定・個性否定は、
そのままの自分の何を否定しているのかという
テーマの違いです。
どれか一つが強く出る人もいれば、
複数が重なっている人もいます。
大切なのは、
自分がどれに当てはまるかを決めることではなく、
3つの自己否定を手がかりにしながら、
自分の苦しさがどのように生まれているのかを
理解していくことです。
そこが見えてくると、
ただ、今のやり方で「もっと頑張る」方向ではなく、
今の苦しさから抜け出し、
自分らしい幸せへ向かう糸口が
少しずつ見えやすくなっていきます。
3大自己否定があると、頑張っていても孤独が残る
3大自己否定があると、
「そのままの自分では受け入れてもらえない」
という思いが、心の奥にあります。
その時点で、
すでに孤独があります。
だからこそ、
そのままの自分で人と関わるのではなく、
それぞれの方法で頑張って
人とつながろうとします。
存在否定では、
負担にならないようにする。
価値否定では、
価値をプラスしようとする。
個性否定では、
普通からはみ出さないようにする。
それは、
人とつながるための頑張りです。
けれど、
その関わりは頑張りのおかげで成り立っているため、
人と一緒にいても気を張っていなければならず、
安心した関係にはなりにくいのです。
つまり、
頑張って人と関わっているときも、
心の奥では孤独が残ります。
そして、そこまで頑張っても、
うまくいかなかったように感じる出来事が起こることがあります。
やっぱり、自分は受け入れてもらえない。
やっぱり、こんな自分じゃダメだ。
そう感じる経験が重なるほど、
今度こそ受け入れてもらえるように、
もっと負担にならないようにしよう。
もっと価値を出せるようにしよう。
もっと普通に見えるようにしよう。
そんなふうに、
さらに頑張ろうとする思考が
働いてしまうのです。
こうして、
人とつながろうとしているのに、
かえって孤独が深まる流れに
入っていきやすくなります。
「勝手に一人になる」が起きる理由
3大自己否定があると、
人からはっきり拒絶されたわけではなくても、
自分から距離を取ってしまいがちです。
これを私は、
「勝手に一人になる」
と呼んでいます。
例えば、存在否定では、
自分がいることで負担をかけたように感じると、
これ以上関わらない方がいいと思いやすくなります。
価値否定では、
迷惑をかけた。
悪く思われた。
期待に応えられなかった。
プラスどころか、
自分の存在がマイナスになったように感じると、
「合わせる顔がない」
と思いやすくなります。
個性否定では、
変に思われた。
その場から浮いた。
自分の好みや考え方に引かれた。
そう感じたときに、
もう受け入れてもらえないと思いやすくなります。
いずれも、
実際に相手から離れていかれたわけではなくてもです。
それでも、
本当に離れていかれることを実感するのが怖いからこそ、
自分から
「もうここにはいられない」
と判断して、離れてしまうのです。
傍から見れば、
相手はそこまで思っていないことも
少なくありません。
本当は、
そのままつながり続けられたかもしれない関係からも、
自分の方から離れてしまう。
だから、
「勝手に一人になる」
と表現しています。
これは、
本当に一人になりたいからではありません。
傷つく前に離れることで、
これ以上、自分が否定される痛みを
避けようとしているのです。
けれど、その結果、
さらに孤独を感じる方向へ
自分を進ませてしまうのです。
「自分はいない方がいい」と感じて人から距離を取ってしまう背景については、
こちらの記事で詳しく整理しています。
▶︎「自分はいない方がいい」と感じる人へ|人とつながりたいのに孤独になる背景
3大自己否定はどこから生まれるのか
3大自己否定は、
意識して選んだ考え方ではありません。
多くの場合、
幼い頃からの経験の中で、
自分を守るために身につけてきた自己イメージです。
そのままの自分でいると、
嫌な思いをする。
傷つく。
受け入れてもらえない。
そう感じる経験があると、
心はその状況を覚えます。
そして、
また同じように傷つかないために、
「こうしてはいけない」
「こうしなければならない」
という反応を身につけていきます。
存在否定なら、
自分の存在を小さくする。
価値否定なら、
相手にとって価値のある自分でいようとする。
個性否定なら、
普通からはみ出さないようにする。
それは、長い間、
自分を守るために必要だった
生きる術でもあります。
3大自己否定は、
人と関わるときや、
自分をどう扱うかを決める
土台になっている自己イメージです。
「じゃあ、そんなふうに考えなくなればいいんだ」
そう思うかもしれません。
ある意味では、その通りです。
そう思ってすぐに変えられるなら、
それは何よりです。
実際には、
「わかっているのにできない」
「また同じ反応をしてしまった」
と、自分を責める方向へ向かってしまうことも少なくありません。
それは、
3大自己否定が
無意識のうちに働いている自己イメージだからです。
そのため、
自分ではコントロールできなかったり、
いつ、どんなふうに影響が出ているのか、
気づいていないことも多いのです。
だからこそ、
意志の力だけでどうにかしようとすると、
遠回りになったり、
自分を責めて終わってしまうことも
少なくないと感じています。
自分を大切にする方向へ進むために
3大自己否定に気づくことは、
自分を責めるためではありません。
これまで自分を守るために
身につけてきた生きる術を、
もう手放していいのだと知り、
本来の自分で生きる感覚を
取り戻していくためです。
「そのままの自分では受け入れてもらえない」
その前提は、
幼い頃の経験の中で
そう学習してきたものかもしれません。
けれど、
これからも持ち続ける必要はありません。
そう言われても、
「では、どうすれば?」と戸惑ったり、
すぐには信じられないかもしれません。
それも自然なことです。
でも、その前提が
どのように身につき、
今の自分にどのような影響を与えているのか。
普段は意識に上らない部分まで
丁寧に一緒にひもといていくことで、
少しずつ、自分の中で
腑に落ちていきます。
そして、
ただ今までのやり方で頑張るのではなく、
今の苦しさから抜け出し、
自分らしい幸せへ向かう糸口が
見えてきます。
そして、
ただ今までのやり方で頑張るのではなく、
今の苦しさから抜け出し、
自分らしい幸せへ向かう糸口が
見えてきます。
自分軸カウンセリングでは、
今困っていることを入口にしながら、
その奥で何が起きているのかをひもとき、
悩みの構造を明らかにしていきます。
それぞれの「そのままの自分では受け入れてもらえない」
という前提を少しずつほどき、
本来の自分を取り戻していくための時間です。
この記事を読みながら、
自分の中にも3大自己否定があるかもしれない。
でも、ここから自分らしい幸せへ向かっていきたい。
そう感じた方は、
自分軸カウンセリングで一緒に整理していきましょう。



