「しんどい」と感じるときに

優しい人が損をする理由|相手の望みに応えるほど、報われなくなるのはなぜか

「しんどい」と感じるときに

相手が喜ぶなら、やってあげたい。
断るのはかわいそう。

そんな思いで、
頼まれれば引き受けるし、困っていそうなら手を貸す。

あなたもそうですか。

けれど、相手のために、
できるだけのことをしてきたのに、

なぜか、いつしか、
ありがとう、と言われることが減っていく。

そればかりか、
今回はどうしてもできないという状況で
断らざるを得なくなると、
不満や文句になったりして──。
 

「優しい人は損をする」という言葉があります。

でも、
一番堪えるのは、損得よりも、
喜んでほしくてしてきたことが、
文句に変わってしまうことの方ではないでしょうか。

どこから、そうなっていったのか・・・。

そう考えたとき、
もしかすると、あなたは、

「断ったから文句が出るし、関係が悪くなる。」
「ちゃんと、全部やってあげられればよかった」

と、もっとやれる自分を目指そうと
するかもしれません。

でも、そこではないのです。

この記事では、
相手との間で何が起きているのか、
そして、自分の中で何が起きているのかを、
順番に整理していきます。

優しい人が損をするカラクリ

「相手が喜ぶなら、少々無理してもやってあげたい」
「断るのは、かわいそうだし」

あなたのその思いは、
相手にとっては救いであり、
きっと、優しさとして、喜ばれることでしょう。

ただ、この優しさが続く中で
だんだんと不満につながっていく
代表的な3つのシチュエーションがあるのです。

あなたの場合は、どれに近いでしょうか。

① 好意でやっていたことが当たり前になってしまうとき

最初は「ありがとう」と言われていた。
でも、続くうちに、だんだんと何も言われなくなる。

人は、「いつも」のことに意識が向かなくなるものなのです。

そして、できないときには、
なんで?どうしてできないの?、という反応が返ってくる。

これは、
してもらえること自体が、
「当たり前」のことに変わっていったということです。

② 「あなたならやってくれる」の、期待がふくらんでいくとき

一度やってもらって助かると、
この人なら、という期待が生まれます。

そして、
これもやってもらえるかな?
これはどう?

とお願いすることが多くなっていきます。

これは悪意ではなく、
関係の中で自然に育っていくものです。

あなたも、この時点では、
相手も喜ぶし、
頼りにされているようで、
その期待に応えるのが嬉しいかもしれません。

ただ、その期待が固まってくると、
「この人は、言えばやってくれる人」という認識になっていきます。

すると、断ったときに、
「え?あなたならやってくれると思っていたのに・・・やってよ」
という思いから、

「冷たいなあ」
「融通がきかないなあ」
という反応が来ることがあります。

あなたが悪い側にされたようで、
いい気持ちはしないですよね。
それまで応えてきた分、なおさらです。

そう言われると、
「やっぱり、私がやらなくちゃだめかな」と
やってしまうこともあるかもしれません。

すると、次はもっと断りにくくなります。

そんなやり取りの中で、
期待はさらにふくらんでいくのです。

③ 頼まれる範囲が、まわりにも広がっていくとき

優しさは、一対一の関係だけに留まりません。

あの人に頼めばやってくれる。
その見方が、まわりにも広がっていきます。

・ほかの人からも、同じことを期待される
・してもらえなかった人が、不満を持つ
・引き受ける量が、少しずつ増えていく

「あなたに頼めば、してくれるって聞いた」
「あの人には、してあげたんでしょ」

という反応に、
「公平にしなくては」と、
なんとかやろうとするのではないでしょうか。

でも、どこかで、
応えきれない場面が出てきたとき、
不満、文句が出てきてしまうのです。

一人に応えたことから、
気づけば、まわり全体に
応えざるをえなくなっていく——。

それが、この流れを生むカラクリです。

3つに共通していること

相手も、状況も、それぞれ違います。
でも、共通していることがあります。

それは、どれも、
断らなかったところから始まっている。
ということ、

きっと、あなたからしたら、
あるところまでは、
好意として、快くやっていたことでしょう。

でも、どこかからか、
「断れない」感覚でやる、

断らざるをえなくなって
なんとか断ったタイミングでは、
相手の不満を引き起こしていた。

という感じだと思います。

そして、もう一つ。

相手からは、

・簡単にできること
・いつでもできること
・やりたくてやっていること

のように見えていた可能性が高いということです。

そしてそれは、同時に、あなたの

・誰がやるとも決まっていないことを、  
 気づいたときに引き受けてきたこと

・本当は自分がやらなくていいことを、  
 好意で引き受けてきたこと

・無理をしてもやっていたこと

が、相手には見えていなかったということ。

だから、できないときに、
なんで?という反応が返ってくる。

そう言われたら、あなたは、

苦しくなった時に、すぐ断ればよかった?
言えなかったからダメだった?悪かった?

と、改めるところを探すかもしれません。

でも、そこではないのです。

言わずにやってきたことにも、理由があるからです。

なぜ、断れないのか

なぜ、無理をしても、
苦しくなっても、
断らずにやってしまうのでしょうか。

それには、
2つの理由があります。

断ろうとすると、
断ったあとのことが、先に浮かびます。

がっかりした顔。
気まずくなる空気。
冷たい人だと思われること。

それを想像すると、
引き受けた方がいい、
となるのではないでしょうか。

そして、もう一つ。

断ると、その場だけでなく、
その後の関係が悪くなる。

その思いがあるからです。

現に、やむにやまれず
断ることになったあと、

不満や文句に繋がったり、

それを機に、
もう頼まれなくなって、
その人との距離を感じたり・・・

その後の関係も悪くなった、
という実感があります。

そして、それは、
「断る」たびに、感じてきたことかもしれません。

だから、どんどん怖くなっていくのです。

その根っこにあるもの

断ったら、
その場の空気も、その後も関係も悪くなる。

これを避けたい気持ちは、
自覚しやすいと思います。

しかし、実は、
もっと根っこになっている
考え方があります。

快く引き受けていた時から
無意識に働いている考え方です。

それは、

相手を喜ばせることで、
いい関係が築ける。

というもの。

そして、
相手を喜ばせることとして
代表的なのが、

・相手の言う通りにすること
・相手の期待に応えること

です。

裏を返せば、
喜ばせないと関係が保てない、

という感覚につながっているのです。

これは、これまでの
無意識による「自分の守り方」とも言えるでしょう。

相手の期待や望みに応えることが、
関係を保つ条件のように感じられていると、
自然と無理をしてでも引き受けるようになります。

ましてや、断ることは、
もう、その用事だけの話ではありません。

関係そのものを揺らすことに思えてくるからこそ、
大きな怖さを伴うのです。

こうして、
自分がどうしたいかではなく、
相手が喜ぶかどうかを基準に動いている状態。

これを、他人軸と呼んでいます。

断る前に、大事なこと

この流れは、
断れるか、断れないか、
の前から
始まっているということが
伝わったでしょうか。

引き受けるか、断るか。
その判断の基準を、どこに置くのか
を、決めることが大事という話です。

あなたが
だんだんと
苦しくなっていく場合は、

言われたら、やる。
困っていそうなら、やる。
かわいそうだから、やる。

となっていることが多いです。

こうして相手の状況で動いているとき、
何をどこまでやるかは、相手次第。

自分の中に、基準がない状態であり、
基準を相手側に預けている状態です。

自分にどこまでの負荷がかかっているか
無理しているかは、自分でもみていない
可能性も高いのです。

そして、断るのは、
自分側が、いっぱいいっぱいになって
本当に無理になった時。

すると、いつの間にか苦しくなり、
断ると、関係が崩れるという流れに
なりやすいのです。

どこに基準を置く?

では、何を基準にすると
そのような流れになりにくいのでしょうか。

それは、
自分は、何を大切にしたいのか。
目的は何か。
そんな基準です。

たとえば、プライベートなら、

この人との関係を大切にしたい。
だから、これは引き受ける。

自分の時間も大切にしたい。
だから、ここまでにしておく。

同じことを引き受けても、
自分の内側の何で決めているかは
違うことがあります。

また、仕事なら、
その仕事は、本来誰がする仕事か。

決まっていない仕事なら、

・余裕があるから、今は、これは受けられる。
・得意なことだから、これなら受けられる。

というように、自分の状況や基準で
1つ1つ決めていく。

そして、受ける際は、
それが、誰がするか決まっていない仕事であること共有し、
引き受ける理由も一緒に伝えておくと、

その後、引き受けない理由も
伝わりやすくなります。

自分の基準や価値観を伝えることは、
自分を大切にするだけでなく、
相手を大切にすること

ひいては、相手との関係性を
大切にすることでもあるのです。

自分の基準を決めることで、変わること

これまでは、誰かに何か頼まれると、
どんな基準で受けていたのか

振り返ってみていかがでしたか。

もし、
相手の状況や顔色で決めていた、と
気づいたなら、

それは、同時に、
変わっていける可能性があるということです。

基準が自分の側にあると、
迷ったときに戻る場所ができます。

「私は、何を大切にしたかったんだっけ」

そこに戻って考えるようになると、
断るか、引き受けるかで悩んでいたことが、
何を大切にするかの話に変わっていきます。

だから、断りやすくなるのです。

「しないといけない」と思って
動いていたときより、

引き受けたことに対して、
自分で選んだ感があると気づくことでしょう。

そして、
あなたが何を大切にしているかが
相手にも見えていると、
相手も動きやすくなります。

この人は、こういうときは引き受けてくれる。
こういうときは、難しい。

そうわかっていれば、
断られても、納得感がああります。

本来は、 無理をしてまで
やらなければならないことは、
何もない、と思っています。

何かの選択肢を見落としているか、
初めから無理と却下しているのか、
点検してみるといいかもしれません。

初めから無理と却下したとしても、
それは、自分でそう判断し、
選んでいると意識してみてほしいのです。

そして、経験上、
無理だと思っていたことが、
そうではなかったということも
往々にしてあるものです。

また、相手側からしても、
無理してでもやってほしいと
思っていないことがほとんどです。

もし、そういう状況があった場合に、
無理をしてまでも引き受けたいと
思ったなら、引き受けてもいい。

「何をしたらいけない」
「何をしないといけない」

ここから、解放されて、
自由に選ぶ時、

本当の優しさが発揮されて
いくのではないでしょうか。

まとめ

優しい人が損をする。

そんな状況は、
次のような流れで起きていました。

相手が喜ぶなら、と引き受ける。
それが当たり前になり、
期待がふくらみ、まわりへ広がっていく。

そして、いっぱいいっぱいになって
断ったときに、不満が返ってくる。

でも、
ここで押さえておきたいポイントは、
断ることになったのは、
あなたの頑張りが足りなかったからでも、
能力が足りなかったからでもないということ。

引き受けるかどうかを決める基準が、
相手の側にあった。

言われたら、やる。
困っていそうなら、やる。
かわいそうだから、やる。

自分の状況ではなく、
相手の状況で決まっていた。

だから、依頼を、
いっぱいいっぱいになるまで
引き受け続ける形になった。

そして、その根っこには、
相手を喜ばせることで、いい関係が築ける。
だから、喜ばせないといけない。

そんな感覚がありました。

それが、
他人軸と呼ばれる状態です。

そこから抜け出す視点は、

自分は、何を大切にしたいのか。

最初に引き受けるかどうかを決める段階で、
その基準で考えて決めることで、
自分で選んだ感覚が
それまで以上に、感じられるようになっていきます。

「しないといけない」から解放されて、
自由に選べるようになったとき、

あなたの優しさは、
本当の優しさとして
発揮されていくのではないでしょうか。

ここまでを読んで、

「自分の基準が、どこにあるのかわからない」
「大切にしたいことが、思い浮かばない」

と感じた方もいるかもしれません。

それは、それだけ、
相手の状況を先に見てきたからと言えます。

自分がどうしたいかを考える前に、
相手がどうしてほしいかを考えるのが、
習慣になっている状態。

でも、今まで、
自分のことを、考えてこなかっただけで、
ないわけではありません。

自分軸カウンセリングでは、
今起きている悩みを入り口にしながら、
その奥にある他人軸による影響を、
一緒に見ていきます。

一見別々に見える悩みも、
他人軸からくることが多いものです。

その背景を扱っていくことで、
同じような苦しさが自然と起きにくくなります。

また、目の前の悩みに、
どう関わっていけばいいかが
わかってきます。

この記事のように、
今悩んでいることが、
実はポイントではなかった。
ということも、往々にしてあるのです。

・自分の中で何が起きているのかを知りたい方
・自分の感覚を大切にして選んでいきたい方
・自分らしい幸せへ進みたい方

一度、一緒に、
あなたの他人軸の背景を、ひもといてみませんか。

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