あなたは自分のことを、どう思っていますか?
「自分はダメだ」と感じることが、多かったりするでしょうか。
自分のことをどう捉えているか(セルフイメージ)は、
日々の幸福感や選択に大きく影響すると言われています。
そのため「セルフイメージを高めよう」と様々な方法を試す方も多いですが、
一生懸命やっているのにうまくいかず、かえって苦しくなってしまうことがあります。
この記事では、
セルフイメージを高めるために
よく言われる「2つの方法」を例に挙げながら、
うまくいかない時に起きている心の構造と、
本当に目指したい状態について整理していきます。
① 高級な場に身を置く
手っ取り早い方法としてよく紹介されるのが、高級ホテルのラウンジに行ってみる、グリーン車に乗ってみる、といったものです。
私自身も試していた時期があります。
最初はやはりお茶の値段に驚き、
「自分にはふさわしくない気がする」
「浮いている気がする」
と居心地が悪かったのを覚えています。
起きやすいズレ
この方法でよく起きるのは、
「周りのランクを上げることで、自分のランクが上がったように感じる」
という状態です。
高級な場所、
高価なもの、
ステータスのある環境を選ぶことで、
自分が”上がった”気になる。
つまり
「環境のランク=自分の価値」
という捉え方です。
ある程度の効果はあるかもしれません。
ただ、さまざまなものをランクや上下(優劣)で見る視点が変わっていないとすると、
その土台はお金や環境に支えられているだけの状態になりやすいです。
環境が変われば、また揺れる。
そういう構造になりやすいという点が、一つ気になるところです。
本来の意味
では、この方法の本来の意味はどこにあるのでしょうか。
一つは、「慣れること」です。
私たちは、自分の状態を全体的にまとめていて、
突然一部分だけ環境が変わると、不一致を感じます。
ホテルラウンジに慣れていないとき、
居心地が悪いのは、それが理由でもあります。
そこで刺激を受けて、少しずつ自分の中が変わっていく。
そのプロセスが、この方法に含まれている部分です。
セルフイメージが変化するのは、
ランクが上がったからではありません。
例えば、
自分にお金を使うことに罪悪感を持ちやすかった人が
高級ラウンジの空間やおもてなしで
自分を大事にされることを通して
自分を大切にすることに慣れていく。
「自分のために時間とお金をかけ、快適な環境を選んであげた」
という、自分を大切にする行動をとれたからです。
高級ラウンジである必要もなく、
自分が心地よいと感じる場所や時間を、自分で選べるようになること。
そして、どこにいても自分が心地よくいられること、
それが、この方法の先にあるものだと思っています。
【コラム】高級な指輪を身につけたら、どう変わるか
以前テレビ番組で、
「高級宝石を身につけたら50日で女性の顔は変わるか」
というドキュメントが放送されていました。
選ばれた女性は会社員で、
フリーデスク制度の職場で誰とも話さず一人でランチを済ませるような人。
服装にも無頓着で、同じ黒い服を着まわしていました。
その彼女が高級ダイヤモンドの指輪をはめた場合の変化を追う、という内容でした。
最初のうちは大きな変化はありませんでした。
指輪を職場につけていっても、周りに気づかれることもなかった。
ある日、彼女はその指輪のブランドを調べ、
その値段に驚き、銀座のショップを訪ねてみます。
最初はお店の前を何度も行き来して、やっと入った。
するとスタッフがブランドの指輪に気づいて歓迎し、
お得意様向けの展覧会の招待状を渡してくれました。
そこから彼女の行動が変わっていきます。
身なりに気をつけるようになり、
展覧会では指輪を褒めてくれる人と出会い、
友人とのランチでも変化を気にかけてもらえるようになった。
そして50日後、顔つきが変わっていたというのが番組の結論でした。
この変化で注目したいのは、
「指輪の価値に引っ張られた」ことではなく、
「人と関わる場面が増えた」という点です。
指輪が高価だったから変わったのでなく、
それをきっかけに興味が生まれ、動きが生まれ、関わりが生まれた。
ここでもし「高級な指輪をしているときの自分だから」
という条件つきで受け取っていたなら、その先はまた苦しくなりやすいです。
本来の意味は、指輪から離れたところにあります。
自分が受け入れてもらえる感覚を持てたこと、
人と楽しい時間を過ごせたこと。
そちらに変化のポイントがあります。
だから、高価なものである必要はありません。
好きなものを身につけてみる、
外出の準備を少し楽しんでみる、
会いたい人に会いに行く。
そういったことが、同じ方向につながっています。
②「私は、すごい!」と思ってみる
もう一つよく言われる方法として、
「自分はすごいと思ってみる」というものがあります。
起きやすいズレ
ここでも、うまくいかなくなるパターンがあります。
一つは、「自分はすごいと思わないといけない」と
思い込もうと頑張ること。
そして、思えない自分を責めること。
これは、こちらのパターンですね。
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そして、もう一つは、
「私はすごい」=「(周りのみんなより)すごい」と、
他者との比較で捉えてしまうことです。
これも先ほどと同じで、優劣思考から抜け出せていない状態です。
行動的になり、周りから「すごいね!」と
褒められることはあるかもしれませんが、
根本の基準が外側にあると、
「常にすごくいつづけなければならない」というプレッシャーが生まれ、
苦しくなってしまいます。
また、「自分は特別で、周りとは違う」と区別しすぎると、
かえって孤立を深めてしまうこともあります。
本来の意味
ここで言っている「すごい」は、人と比べた話ではありません。
「人はみんな、それぞれにすごいところがある」という意味です。
そして同時に、「みんな、それぞれにダメなところもある」。
これもセットです。
「すごい」の中身も、
誰にもできない特別なことをするから、という意味ではありません。
当たり前のようにできている日々の小さなこと
(例えば、挨拶ができることなど)を、
「すごいことだ」と認めてあげること。
・すでにできていること
・すでに持っているもの
に気づいていくこと、とも言えます。
生まれて、生きているだけでも、すごいのです。
それ自体が、奇跡のようなことでもあります。
つまり、この方法の本来の意味も、
ダメなところを責めて
ダメなところが無い完璧な私を目指すのではなく、
すごいところも、ダメなところもある
「ありのままの自分」を認めることにあります。
まとめ
2つのアプローチを整理してみました。
共通しているのは、本来の意味は
「自分を大切にする選択を、自分で受け取れるようになること」にある、
という点です。
比べることでも、
環境で支えることでもなく、
自分の選択や状態を、自分が受け取れるかどうか。
そちらを少しずつ整えていくことが、
セルフイメージが変わっていくプロセスに近いと思っています。
こうしたセルフイメージの感覚は、
頭で理解するだけでなく、
ご自身の中でどのように形づくられているのかを見ていくことで、
より整理しやすくなることがあります。
もし、
・自分の中でどんな捉え方が無意識のベースになっているのか
(普段は意識しにくい部分も含めて)
・なぜ同じような感覚が繰り返されるのか
もう少し見ていきたいと感じたときは、
個別のカウンセリングの中で、一緒に整理していくこともできます。
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自分の価値の捉え方や、日々の感じ方とも深くつながっています。
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