私はこれまで、
「自分の本心がわからない」
と悩む方のご相談を
たくさん受けてきました。
特に多いのが、
仕事や転職、退職に関する迷いです。
「今の仕事を辞めたい」
でも、
「それは逃げなのかな」
「無責任なのかな」
「迷惑をかけることになるし」
「辞めるって、負けたみたいで嫌だ」
そんなふうに、
いろいろな思いが湧いてきて
迷っている方も少なくありません。
また、
「甘えているだけなのかも」
「逃げ癖がつくかも」
「これくらい頑張れないなんて」
と、自分を責めてしまう方もいます。
でも、大切なのは、
まず、その「辞めたい」という気持ちが
どこから来ているのかを見ていくことです。
本心から、
今の仕事を離れたいと思っているのか。
それとも、
本当は続けたい気持ちがあるのに、
「辞めたい」と思ってしまう何かがあるのか。
この記事では、
自分にとって納得できる選択をするために、
自分の中で何が起きているのかを
整理する視点をお伝えします。
辞めるか続けるかを決める前に、確認したいこと
仕事を辞めたいと思った時、
辞めるのか、続けるのか、
早く答えを出したくなることがあります。
決められない状態が続くこと自体が、
大きなストレスになるからです。
「辞める」と決められたら楽になるのに。
「続ける」と決められたら迷わなくて済むのに。
そんなふうに感じる方も
少なくありません。
ただ、心や体が限界に近づいている時は、
本心も見えにくくなります。
本当は辞めたいのか。
本当は続けたいのか。
それとも、まず休みたいのか。
疲れ切っている時には、
その違いもわからなくなってしまうことがあります。
たとえば、
・朝、仕事に行こうとすると涙が出る
・眠れない、食欲がない
・休日も仕事のことが頭から離れない
・体が重く、何もする気力が出ない
・職場のことを考えるだけで苦しくなる
このような状態なら、
必要なのは、
すぐに大きな決断をすることではなく、
まず自分を少し休ませることかもしれません。
これは、決断を先延ばしにするためではありません。
自分にとって納得できる選択をするために、
今の自分が、考えられる状態にあるかを
確認するということです。
ただ、ここまで心や体が追い込まれるまで頑張ってしまう時、
そこには、自分の感覚よりも
「迷惑をかけてはいけない」
「期待に応えなければいけない」
「言われたことを、ちゃんとしなければいけない」
という思いを優先してきた背景があることは
少なくありません。
これは、意思が弱いからではありません。
過去の経験の中で身についた
自分の中のパターンが反応して、
人の期待や反応を基準にして
頑張り続けてしまうことがあるのです。
その結果、
自分の感覚よりも、
「どうするべきか」
「どう思われるか」
「迷惑をかけないためにはどうすればいいか」
が優先されて、
自分の本心が見えにくくなっているのかもしれません。
もし、心や体が疲れ切っている時は、
こちらの記事も参考にしてください。
▶︎ メンタルが落ち込んだ時に試したい復活法|やさしくできる6つの過ごし方
本心から「辞めたい」と感じている場合
心や体の状態を確認したうえで、
それでもやはり
「今の仕事を離れたい」
「この働き方を続けるのは違う」
「この場所にいるほど、自分がすり減っていく」
と感じるなら、
その「辞めたい」は、
本心から来ている可能性があります。
たとえば、
・仕事内容そのものが、自分に合っていない
・職場の価値観や雰囲気が、自分の感覚と合わない
・今の仕事に、自分を合わせ続けている感じがする
・本当は、別の方向へ進みたい気持ちがある
このような場合、
「辞めたい」という気持ちは、
あなたを困らせるために出てきているのではありません。
今の環境や働き方が、
自分に合っていないことを知らせる
大切なサインかもしれません。
ここで見たいのは、
辞めた先に何を見ているかです。
ただ何もかも投げ出したいのか。
それとも、
もっと自分に合う働き方をしたいのか。
自分をすり減らさない場所へ移りたいのか。
本当は大切にしたいことを取り戻したいのか。
辞めた先に、
少しでも自分を取り戻す感覚があるなら、
その「辞めたい」は、
自分を大切にする方向から出てきている可能性が高いと
考えてよいでしょう。
ただし、少し見ておきたいこともあります。
人間関係がうまくいかなくなった時に、
「新しい場所で出直したい」
「ゼロからやり直したい」
「環境を変えれば、なんとかなる気がする」
と感じることもあります。
もちろん、実際に環境を変えることで、
楽になる場合もあります。
ただ、同じような人間関係の苦しさを
何度も繰り返しているなら、
場所の問題だけでなく、
自分の反応パターンが関係していることもあります。
その場合は、
辞めるか続けるかだけでなく、
人との関わりの中で自分に何が起きやすいのかも
見ていくことが大切です。
本心では辞めたくないのに、「辞めたい」と感じている場合
一方で、
「辞めたい」と感じていても、
本心では辞めたくない場合もあります。
本当は、今の職場にいたい。
今の仕事を続けたい。
できることなら、ここでやっていきたい。
でも、
「迷惑をかけている気がする」
「期待に応えられていない気がする」
「周りから必要とされていない気がする」
そんな思いが強くなって、
自分から離れようとしてしまうことがあります。
この場合、
本心は「辞めたい」ではなく、
「ここにいてはいけない気がする」
という不安が強くなっているのかもしれません。
ここで大切なのは、
「なぜ、ここにいてはいけないように感じるのか」を
見ていくことです
特に、直近で失敗をしたり、
誰かから評価されなかったと感じたり、
悪く思われたと感じる出来事があった場合は、
その出来事の影響で、
一時的に「ここにはいられない」という感覚が
強くなっているのかもしれません。
また、
「辞めたい」と伝えることで、
本当は引き留めてほしい。
必要だと言ってほしい。
大切に扱って欲しい。
そんな思いがある場合も、
このパターンに近いと言えます。
本当は辞めたいのではなく、
「ここにいていいのか」を
確認したくなっているのだとしたら、
見ていく必要があるのは、
辞めるか、辞めないかよりも、
自分がなぜそこまで不安になっているのか、
という部分です。
「自分はここにいない方がいい」と感じやすい方は、
こちらの記事も参考にしてください。
▶︎ 「自分はいない方がいい」と感じる人へ|3タイプでわかる孤独の違い
また、
今の仕事や会社そのものは嫌いではないけれど、
苦手な人や嫌いな人との関係がつらくて、
辞めたいと感じる場合もあります。
その相手との関係で自分に何が起きているのかを見てみることも、
本心を見極めるための大切な手がかりになります。
苦手な人や嫌いな人とのストレスについては、
こちらの記事で詳しく整理しています。
▶︎ 嫌いな人とのストレスを減らす方法!心理学が教える4つの原因と向き合い方
「怖い」は、本心を否定する理由にはならない
本心を見極める時に、
もう一つ大切なのが「怖さ」です。
辞めたい。
でも、辞めるのが怖い。
この状態は、
決して珍しいものではありません。
たとえば、
・次の仕事が見つかるか不安
・収入がなくなるのが怖い
・転職先でうまくやれるか心配
・辞めたことを後悔しそうで怖い
このような怖さがあると、
「怖いということは、
本心では辞めたくないのかもしれない」
と思ってしまうことがあります。
また、これまでいろいろな場面で、
「怖いからできない」
「怖いなら、やめた方がいい」
と判断してきた人もいるかもしれません。
でも、未知のことへ踏み出す時、
怖さが出るのは自然なことです。
今の職場に不満があっても、
新しい場所でよくなる保証はありません。
だからこそ、
「それなら、今の場所にいた方がいい」
「今の不満には慣れている」
「どこに行っても、きっと何かしらあるに違いない。
新しい場所で別のことで悩むくらいなら、このままでいい」
と感じることもあります。
これは、仕事だけでなく、
恋愛でも起きやすい反応です。
慣れた苦しさの方が、
未知の不安より安全に感じられることがあるのです。
でも、それは必ずしも
「本心では辞めたくない」という意味ではありません。
怖さが、今の場所に留まる理由として
強く働いている場合もあります。
怖いから、本心ではない。
怖いから、やめた方がいい。
とは限りません。
本心では辞めたい。
でも、現実的な不安もある。
そのように、
「辞めたい気持ち」と
「辞める怖さ」が同時にあることもあります。
だから、怖さがある時に必要なのは、
本心を消すことではありません。
何が怖いのかを、
具体的に見ていくことです。
次の仕事のことが怖いのか。
お金のことが怖いのか。
人にどう思われるかが怖いのか。
自分の選択を信じることが怖いのか。
怖さが具体的になると、
準備できることも見えやすくなります。
本心に従うことは、
不安を無視して勢いで動くことではありません。
辞めたい気持ちも、
辞める怖さも、
どちらも大切にしながら、
納得できる選択に近づいていくことです。
本心が見えにくくなる背景
仕事を辞めたいのか、続けたいのか。
この迷いは、
目の前の仕事だけの問題に見えて、
実はこれまでの選び方のパターンが
関係していることもあります。
たとえば、
・人に迷惑をかけないことを優先してきた
・期待に応えることで、必要とされようとしてきた
・評価されることで、自分の居場所を保とうとしてきた
・心や体に不調が出るまで頑張ったことがある
そんな場合、
「辞めるか、続けるか」だけを考えても、
また同じような迷いに戻ってしまうことがあります。
なぜなら、
本当に見ていく必要があるのは、
自分が何を基準に選ぼうとしているのか、
という部分だからです。
人の反応なのか。
周りの期待なのか。
失敗しないことなのか。
自分の感覚なのか。
そこが見えないまま決めようとすると、
どちらを選んでも不安が残りやすくなります。
だからこそ、
自分が何を基準に選ぼうとしているのかも
見ていくことが大切です。
本心を見極めるために、条件を外して考える
ここで、もう一つ
本心かどうかを見極めるための視点を
お伝えします。
本心を見極めたい時は、
まず一度、
今気になっている条件を横に置いて
考えてみることです。
仕事を辞めたいと思う時、
お金の不安や人間関係のストレス、
周りの目や家族の反応など、
様々なことが重なって、
自分の本心が見えにくくなっていることが多いからです。
もし、
生活の不安をいったん横に置けるとしたら。
そして、
人間関係も良好で、
親や周りの人に
何も言われてないのだとしたら。
今の仕事をしたいでしょうか。
今の会社で働きたいでしょうか。
ここを見てみると、
「辞めたい」という気持ちの中身が
少し分かりやすくなります。
今の仕事そのものが合わないのか。
仕事には関心があるけれど、
今の会社や環境からは離れたいのか。
本当は、そこにとどまりたいのか。
もちろん、お金や人間関係は、
現実的にとても大きな要素です。
ただ、本心を見極める時には、
一度それらを横に置いてみることで、
自分は本当はどうしたいのか。
何がその気持ちを止めているのか。
その違いが整理しやすくなります。
本心に気づくことと、今すぐ辞めることは違う
いかがでしたでしょうか。
ここまでで、本心がなんとなくでも
わかってきたでしょうか。
たとえ、本心から辞めたいとわかったとしても、
今すぐ仕事を辞めなければいけないわけではありません。
本心に気づくことと、
勢いで動くことは違います。
本心で辞めたいとわかったなら、
その気持ちを無視せずに、
それを止めていた心のブレーキと
向き合ってみることも大切です。
そして、現実的に辞めるとしても
どう辞めるか、いつ辞めるか、
何を準備するかを考えていくことも必要です。
本心では辞めたくないとわかったなら、
なぜ「ここにいられない」と感じるのかを見直し、
必要な確認や相談をしていくこともできます。
本心が見えてくると、
辞めるにしても、続けるにしても、
次に見ていくことが変わってきます。
まとめ
仕事を辞めたいと思った時、
「これは本心なのかな」
「逃げなのかな」
「このまま辞めていいのかな」
と、気持ちが揺れることがあります。
そんな時に大切なのは、
その「辞めたい」がどこから来ているのかを
見ていくことです。
本心から、
今の仕事や職場を離れたいのか。
それとも、
本当は続けたいのに、
不安や怖さから
「ここにいられない」と感じているのか。
お金のこと、
人間関係のこと、
周りの反応、
迷惑をかけるかもしれないという思い。
そうしたものが重なっている時ほど、
自分の本心は見えにくくなります。
だからこそ、
一つずつ分けて見ていくことが大切です。
こうして
自分の本心を見極めることは、
今回のように仕事を辞めるか続けるかという
大きな選択をする時だけに
大切なのではありません。
日々の小さな選択にも
関わってきます。
自分は本当はどうしたいのか。
何を怖がっているのか。
何がブレーキになっているのか。
それらを確かめながら選んでいくことが、
自分らしく納得のいく人生に
つながっていきます。
自分の本心を見極めたいあなたへ
ここまで、
自分の本心を見極めるための
大切な視点をお伝えしてきました。
ただ、実際には、
ひとつの理由だけで迷っていることの方が少なく、
生活の事情、
人間関係、
周りの反応、
心のブレーキ、
思考のクセや反応パターンなどが
複雑に絡み合っていることが多いものです。
自分軸カウンセリングでは、
一人ひとりの事情を丁寧にお伺いしながら、
今起きている迷いの奥にある
感情の動き、思考のクセ、反応パターンを
一緒に見ていきます。
自分の中で何が起きているのかが見えてくると、
自分の本心も見えやすくなり、
何がそれを止めているのかも
理解しやすくなります。
そして、
人の反応や期待を基準に選ぶのではなく、
自分の感覚を確かめながら、
これからの選択を見直しやすくなっていきます。
今回の仕事や転職の迷いを通して、
自分の選び方のパターンを見直したい方は、
自分軸カウンセリングをご利用ください。

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